2009年10月05日

31回目インターネットのしくみ(紙パケット)

さんざん悩んできた紙パケットの授業が終わりました。
情報科雑感2: 紙パケットやりたいなぁ
情報科雑感2: 紙パケットshimizu案

授業の流れと、やってみての反省などを。

授業展開は次のような感じです。

※授業開始前にICTカートを教室に持ち込み、アドレス決定用トランプ(赤)、パケット用トランプ(青)の2種類を教卓の上でマーク別に分けて置いておく(各マークのトランプは数字の順番にソートされている)。

1.チャイムで開始
2.出席
3.ワークシート配布。ここにはルーティング実習のルールとアンケートが書いてある。
「ルーティング」ワークシート画像版.png
4.読ませている間に、トランプの数字と出席している生徒の数字を合わせる。
5.ICTカートセット
6.教室を4つのグループに分け、それぞれ「チーム・スペード」「チーム・ハート」などと名前を付ける。中央の4人はルータ役。
チーム分け(ネットワーク分け).png

7.机を移動して4つのグループが内側を向くように。ルータ役は次のルータに渡しやすい向きになる。
座席の隊形.png

写真にするとこんな感じ。
座席の隊形(写真).jpg

8.まず始めに裏が赤いトランプで一人一人のアドレスを決定します。それぞれのマークのルータ役の生徒に枚数を合わせたトランプを渡し、よく切ってもらい一枚ずつ取ります。各マーク内でランダムな数字になります。このマーク+数字が各人のアドレスになります。

・マーク=ネットワークアドレス
・数字 =ホストアドレス

になります。

アドレス決定(赤トランプ).png


続いて今度は完全によく切ってランダムになった裏が青いパケットトランプを枚数分だけルータ役に渡して、一枚ずつ配布します。この「マーク+数字」のアドレスは宛先です。
パケットトランプ配布(青トランプ).png

6.上記「紙パケットshimizu案」に従って、実習(2回ほどやってみる)。基本的に、自分のアドレス宛で無かったら右に廻すだけ。ルータ役は自ネットワーク宛かそうでないかを判断して、自ネットワークだったら左、そうでなければ前のルータ役に渡す。
廻す向き.png

せーのドン!で始めて1〜2分で、全員に届く。あっけないほどに。始まる前に「ちゃんと届いたらみんなで拍手ね」と言っておき、トランプの巡回が止まったときに、「止まった?届いてない人いる?全員届いた?」。シーン。「拍手〜!」というと、どっと拍手が湧いたりする。


2回目は廻し始めた瞬間にハート10などの「存在しないアドレス」のトランプを、こっそり混ぜてみる。すると、当然無限ループになってしまう。インターネットのTTLの説明と結びつけて説明する
7.トランプを集める(ルータ役に色別に)
8.座席を元に戻す
ここまでで、早いと十数分。もたついても30分ほど。
9.ワークシートのアンケート記入。その間にトランプを次のクラス用にソートしておく
10.もう一度、ルーティングとはなどをスライドを使って説明。
11.ワークシートを回収して授業終了

そんな授業の流れです。

さて、全部終わってみて。
今回のshimizu 版は、

・取りあえず全員参加、全員にパケットが届き、「ああ、届くんだ」という実感を持たせる
・なるべく単純なルール(プロトコル)で、単純動作を繰り返すだけで行う

という目的です。ここには欠点も多く含まれます。

・当然、実際のプロトコルとは違う
・ルーティングというけど実際はGWに投げるだけで、中か外かしか判断していない
・自分からのパケットがどう辿ったかは見えない、ルータ以外はルーティングの様子は目にしない。
・同様に、自分に届いたパケットが誰から来たのかわからない(差出人を書かないから)

なので、そこのところはバッサリ切って、「実際とは違うんだけどね」といってやらないといけないわけです。この辺は何を目的にしているかで取捨選択、やり方が変わると思います。


生徒の「気づいたことなど」を抜粋してみます。

・ルータが忙しそう。

・簡単な仕組みだけど全員に届いて驚いた。

・ルータ以外の人はそんなに忙しくなかった。

・まとめて送った方が効率が良い。ルールを守らなければ機能しない。皆、アドレスよりも先にメッセージを読む。

・ルーティングについて話を聞くよりも実際にやってみた方がわかりやすかった。差出人がわかった方がたのしいと思った。

・ルータはたいへんなんだなと思った。ルーター同士やグループ同士でまわしていかないと本人に届かないからみんなで協力することが大切なんだとわかった。

・やってみると意外に簡単でした!でもおもしろかったです!2回目にやった無限ループのは、全然気づかなかったです。それもおもしかったです。

・普段使っているメールがどのようにして届くのかがよく分かった。両どなりのルータが止まったらどうなるのか疑問に思った。

・パケットが全員に廻るなら誰かに見られるんじゃないかなって思った。




みんななかなか本質的なことを気づいていますね。

・ルータが重要
・みんながプロトコルを守るのが大切
・パケットは実は盗み見ることができる
・まとめて送った方が効率が良い

などなど。

生徒が協力的だったということもありますが、机を並び替え始めてからもとの状態に戻すまで20分ぐらいでした。


全体としてまぁまぁな感じでしょうか。

トランプを使った一番の理由は「シャッフルしやすいから」というのがあります。生徒の人数で各絵柄ごとの枚数を調整した後にランダムにしなければならず、この過程をクリアするには形が揃っていて尚かつ丈夫な物がよいのでトランプは最適でした。

以上です。

田崎さん、小原さん、梅澤さん、田中さん、長嶋さんなど様々な方が試行錯誤をしてくれたのを参考にした結果、このような実践になりました。この場を借りて感謝いたします。

何となく、どこでも実践できそうなパッケージ化できたのではないでしょうか。みなさんもぜひ授業で実践していただき、報告し合いましょう。
posted by n_shimizu at 23:55| Comment(3) | TrackBack(1) | 授業2009
この記事へのコメント
n_shimizu先生
はじめまして、山口県の高校に勤務しています。
先生の紙パケットの授業大変参考になりました。今度自分も紙パケットを参考にやってみて、情報部会で授業実践報告をしたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
Posted by 川崎 at 2013年06月05日 17:18
どーぞどーぞ。

今度の日文と東書の教科書にも載りました。

二種類のトランプがあればできる実践なので楽しいです。

二回ほど実習した後で、パケットトランプを一枚だけ送って皆で見ると流れの再確認ができます。

上図のクローバーAからハートの5まで送ると自ネットワークで一回転、ルーター一回転、相手ネットワークで一回転と最長コースになります。誰も間違えなければこれが一番時間がかかるんだと言うと、効率の良さに生徒はびっくりしますよ。
Posted by n_shimizu at 2013年06月06日 00:07
間違えました。

クローバーの4→ハートの5

でした。
Posted by n_shimzu at 2013年06月06日 00:16
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